この記事には、文系学部の志願者傾向について書かれています。受験生の方は参考にしてください。
来春入試に臨む18歳人口は118万人で、今春より2万人減る。それでも、文系学部の志願者は今春を上回っている。
今春は文系学部の人気が高いところに、大規模大学で定員管理の厳格化が進んだため、不合格者が多くなった。来春は文系学部人気の継続とともに、難関大志望の浪人生が多く残っているため、経済・経営・商学部を中心に文系志望者が増加している。就職状況が好調であったり、理科の科目負担増を発端とした理系離れにより、教育学部を除く全系統で前年を上回る。増加の幅が大きい経済・経営・商学系は、前年比で国公立大で106%、私立大で108%となっている。
文・人文系も国公立大、私立大ともに104%である。その中でも心理学系の志願者の増加が顕著である。これは、国家資格の公認心理師が出来た影響であると考えられる。公認心理師は、心理学の知識を保険医療や福祉、教育などの分野で生かす資格である。原則として臨床心理士が指定大学院修了が受験の条件なのに対し、公認心理師は学部卒業後、一定期間の実務経験を積めば受験資格取得できるため、資格志向が強い女子を中心に心理学への人気が高まっている。
大学全体の動向に目を向けると、難関国立大で安全志向が高まっている。昨年から大阪大学の後期試験が廃止されるなど、難関国立大は“前期一発勝負”の感が強まっているので、前期の志望を下げ、安全志向に走る受験生が増えている。
また、私立大志願者も安全志向に走っている。近畿圏では関関同立大や産近甲龍大の志願者が前年並みから減少傾向にある。その中で、追手門学院大や桃山学院大、神戸学院大などが志願者を増やしている。
文系人気と入試の難しさは別問題である。この状況が続くと、倍率がそれほど高くならない難関大の学部も出てくる可能性がある。十分に準備をした上で第一志望を貫くことが、好結果につながる可能性も高い。
(サンデー毎日・11月12日号より抜粋)